高機能でクセの強いModstepの使い方3
今回はModstepの”Mod”な機能、モジュレーションについて説明します。
が、その前に2016年9月26日のアップデートでいくつか変更になった点があるので簡単にご紹介します。
右上にある歯車のアイコンを押すと出てくる設定画面に追加された項目があります。
「Lord last session on startup」は Modstep を立ち上げる時に前回のセッションが開くかどうかの設定です。
Modstep起動時に前回セッションを開く設定にしていると、そこにインサートしてあるIAAアプリも起動します。
これは便利ちゃぁ便利なのですが、新規でセッションを組みたいのに前回のセッションがアプリを沢山差していると、全て起動するのを待ってから新規のセッションを作る必要があるので、じっくり作り込むよりサクサク数多く作りたい人(ワシじゃ)はこのオプションを切った方がいいでしょう。
「Default # of patterns」は新規クリップを作った時に何小節分を確保するかという設定です。
ここでの数字は4分の4拍子の小節数です。1、2あたりが無難でしょうか。
MIDIのコントロールチェンジ
さて、Modstepでグリグリする前にMIDIの知識を。
MIDIは音の情報と同時に色々な要素をコントロールするための信号も送ることができ、それを「コントロールチェンジ(CC)」と呼びます。
基本的に128の要素(CC0~CC127)をコントロールでき、それぞれの要素は0~127までの値を持ちます。
この128の要素の中には何をコントロールするか決まっているものもあれば、アプリや機材ごとに自由に設定できるものがありますが、慣れないうちは CC16番から CC31番はフリーだと覚えておけば大丈夫です。
楽器アプリでの CC の設定方法はまちまちで、マニュアルにMIDIチャート(CCナンバーと要素の対応表)があるものもあれば、自由にCCナンバーと要素を組み合わせることができるものもあります。 今回はMoog Model 15を使ってCCの設定をしてみます。
まずは Modstepを起動後にブラウザで Model 15をトラックにドラッグします。この時2つの Model 15が見えますが、下の方のシンプルな方を選びましょう。
しばらくして Model 15が開きますので、左下に注目します。
「FROM MIDI」というセクションの中にCC16~CC21のジャックがあり、これらを使って外部から入力されたコントロールチェンジ信号を目的の要素に送ります。
今回はCC16をフィルター周波数に、CC17をフィルターのレゾナンス、CC18をディレイのフィードバック数(やまびこする数)に繋ぎました。
これでModel 15での設定は完了です。
次にModstepに戻って、グリグリするための設定を行います。
左上の アイコンを押してモジュレーションの設定画面を開きます。
1から全て設定する事も可能ですが、Model 15はテンプレートがあるので、「Track Templates」から選んで下の画面にドラッグ&ドロップすると設定完了となります。
一番下に並んでいる項目は設定可能な要素のリストで、これらを長押しして「Please select a mapped Slot.」の文言の直下にある左右のエリアにドラッグ&ドロップすると設定された事になります。
セルの左上にある数字(丸で囲ってある数字)はCCナンバーを意味しています。
次にアイコンを押してモジュレーション画面を開きます。
真ん中の丸いアイコンが並んでいる列の「Mod」を押す→セットしたCCが並んでいるエリアで設定したい要素をタップ(セルに白いバーが付く)→何もない真ん中より上のエリアを指でグリグリすれば様々な変化を起こす事ができます。
シーケンスの列は音が設定してある場所は色が付いているので、モジュレーションを書く時の目安になります。
で、CC16番(Model 15のフィルター周波数)のモジュレーションはこちら
指でなぞれば何度でも書き直しができるので、クリップを再生しながら試行錯誤すると分かりやすいです。
CC17番(フィルターのレゾナンス)はこんな感じ。
結構適当です(笑)
モジュレーションはシンセサイザーの音をグニャグニャ変化させられるので楽しいよ!
パソコンの音楽ソフトではモジュレーションできるのが当たり前になっていますが、iPadでここまで簡単に編集できるアプリを私は知りません。
(ハゲ散らかすのを覚悟すればCubasisでもできます)
いくつかのステップシーケンサーアプリにModstep並みに編集できるものもありますが、トラックという概念がなく複数のアプリを同時に鳴らす事ができないので、やっぱりModstepスゲーと思います。
高機能でクセの強いModstepの使い方2
前回の予告通り、今回はModstepの音の打ち込みについて説明します。
Modstepを立ち上げる→トラックを追加→browserで楽器を選択し、トラックへドラッグ&ドロップ→空のクリップをタップ→ピアノアイコンを押すと音の入力画面になります。
ピアノアイコンは画面左上にあるこれですね。
で、編集画面はこちら
他のDAWアプリを触ったことがある人なら、そんなに難しくないと思います。
ただ、クリップ単位での管理となるので、最初は1小節しか表示されていない事に戸惑うかも知れません。
小節を増やしたい場合は上の画像のピンクの説明のようにセルをタップしてクリップの小節を増やしましょう。
表示する範囲は四角をドラッグすればグリグリ動きます。サイズはピンチイン・アウトで変更できます。ちなみに最大表示はこんな感じです。
もはや人の指では音を置けない(笑)
編集画面の下になにやらボタンがいくつか見えますが、とりあえず調の選択だけ説明します。左下の「scale」ボタンを押すと調の選択画面が表示されます。
ここでの注意点は、音を入力した後にスケールを変更すると、変更後のスケールに含まれていない音は見えなくなる事です。
例えばCメジャーでファの音を入力した後にDメジャーに変更すると、ファの音は見えなくなります。
そんな時は慌てずに右下の「global scale」ボタンを押すと見えるようになるので、Dメジャーの音階に合うように修正しましょう。
「チマチマ音を置いてられっかぁ~!」という方は演奏を記録しましょう。手順は下の通りです。クリップはひたすらループするので、じっくりとタイミングを合わせて音を記録できます。
以上は音程楽器の入力です。リズム楽器の場合はまた別の画面での編集となります。
リズム楽器は「browser」→「Internal Instruments」→「Sampler」を選択します。
このSamplerトラック上にあるクリップをタップして下のアイコンを押すと編集画面になります。
ゴチャゴチャ書いて申し訳ないですが、編集画面はこんな感じです。
真ん中の「Pads」ボタンを押すと、下に4×4のパッドが表示され、それぞれのパッドにはスネア、キック、ハイハットなどの楽器が設定されています。
音を入力する手順は入力したい楽器のパッドをタップして画面真ん中あたりに並んでいる四角をタップすると音が入力されます。
言葉にするとややこしいので、パッドごとに色を変えてみた画像を作ってみました。
これで少しはイメージしやすくなりましたでしょうか?
リズム楽器の編集画面では音程楽器と異なり、4拍1小節の長さしか表示されていません。
リズム楽器のクリップの長さを変えるには、真ん中やや左の「Pattern」
ボタンを押す必要があります。
編集パターン(編集小節)を切り替えるにはパッドを長押ししないといけないので気を付けて下さい。私は結構悩みました(笑)
このリズム楽器の編集画面はドラムだけではなく、音程楽器の編集もできます。説明すると長くなるので割愛しますが、チャレンジ精神のある方はトライしてみて下さい。
高機能でクセの強いModstepの使い方1
私はピコピコ音楽中心に遊んでいますが、ピコピコ音楽の特徴として
1~2小節のフレーズを繰り返す、というものがあります。
繰り返すといっても、ただ延々と繰り返すだけだと面白くないんで、繰り返しながら音色を少しずつ変化させたりします。
ここで適用される変化(モジュレーション)の王道はシンセに搭載されているフィルターの Frequency と Resonance で、演奏する度に手動で動かすのではなく、MIDIデータとして記録するのが一般的です。
iPad の音楽アプリでこのような変化を自動化させようとすると、難しいものがあります。
例えば Cubasis では「オートメーション」という機能で実現できる
のですが、使い勝手は悪いです。マジでイライラしてハゲます。
そんな中、2015年の12月に「Modstep」というDAWアプリが
発表されました。
このアプリは Cubasis や Garageband と違って1~数小節を一つの単位にした塊(クリップ)を繰り返し演奏します。
また、トラックごとのクリップを一まとめにして「シーン」という単位にすることができ、自由にシーンを切り替えられます。
Cubasis のようなアプリで作った曲をこのスタイルに変換すると下図のようになります。
ただ、実際はあまりこのような配置にはなりません。
なぜなら、このスタイルではシーンやクリップをタップするとタイミングを合わせて再生クリップ、シーンが切り替わる機能があるからです。
なので、即興的に組み合わせを変化させる方が多いです。
(もちろん Cubasis 的な使い方もできます)
このスタイルは ableton Live というパソコン用ソフトが元祖で、非常に人気が出たため様々なソフトに取り入れられています。
少し脱線しましたが、初めに書いた自動で変化(モジュレーション)
させる機能は Modstep にも搭載されています。
変化の記録・編集は Cubasis より容易です。
…ですが、このアプリは非常に操作にクセがあります。
なんというか直観的でないです。
ということで、この気難しい Modstep の使い方の解説を何回かに分けてお送りします。
メイン画面について
まずは起動画面
アプリを立ち上げた後は下のようになります。
先に説明したように、縦がトラック・横がシーンです。
一番初めは「Add Track」でトラックを追加し、そのトラックをタップしてアクティブにした後、左上にある「browser」をタップします。
タップ後に出てくる画面で、楽器を追加するには「Instruments」、エフェクターを追加するには「Effects」をタップします。
「Instruments」をタップした場合、下のように3つのカテゴリーが出ますが、一番上は Modstep に内蔵されている Sampler(ドラムキット)とSynth(文字通りシンセ)、真ん中は IAA に対応したインストール済のアプリ、一番下は AU に対応したインストール済のアプリが選択できます。
選択したアプリをトラックに追加するにはアプリをタップしたまま追加したいトラックまでドラッグします。
そしてトラックの下にあるクリップエリアのグレーの部分を1回タップすれば空のクリップが作成されます。
さて、打ち込むぞぉ~!
の前にちょっとまって!
Modstep にはいくつも知っておいた方がよい事があります。
まずはセーブ&ロードについて。
画面右上の紙アイコンを押すとファイル管理画面になります。
セーブはまあ、普通に「Save」ボタンを押せばいいというのが分かりますが、ロードがちと分かりにくい。
今まで保存したデータは一番左に表示されます。これをロードしたい時は、一度ファイル名をタップしてアクティブにした状態で
一番右の「Load」ボタンを押します。
なんで画面の端から端まで使わないとアカンのよ…もっと近づけても良かったんじゃね?
ちなみに真ん中やや右にある「Session Autosave:~」は何かアクションした時に自動でセーブされるファイルです。
また、下の「Audio Recordings」と「Midi Files」は当分気にしない方が幸せです。
セーブとロードは分かった!
よし、やるぞぉ~!
ちょっと待って!
編集画面と機能についても知って欲しい事があります。
編集作業は主に左上のアイコンを使って画面を切り替えて行います。
この画面の上段にあるアイコン群は画面を切り替えます。
これはトラックとクリップを表示する画面になります。メイン画面ですね。
メロディー楽器のMIDIデータを編集する画面になります。Cubasis でいうピアノロールです。
ドラムのMIDIデータとモジュレーションを編集する画面になります。
ここでメロディー楽器のMIDIデータも編集できそうですが、私は諦めてます(笑)
モジュレーションの対象をセッティングする画面になります。
ここで変化させる対象をセッティングして、ドラムのMIDIデータを編集できる画面で変化を編集します。
これも分かりにくいッスよ…一つの画面でセッティングと編集させてよ。
トラックに設定されたアプリを開きます。
で、下段の単語類はサブ的な機能になります。
「browser」は最初にトラックにアプリを追加するのに使いましたね。
「keyboard」は仮想キーボードを表示します。アプリ編集以外の全ての画面で開きます。
閉じるときはもう一度「keyboard」をタップします。
「edit」はコピーや削除を行います。
左はコピー、真ん中は…知らん、右は削除です。
コピーの方法は、アイコンをタップしてからコピーする対象をコピー先へドラッグします。
範囲コピーはアイコンをタップ→ドラッグして範囲を決める→決めた範囲をコピー先へドラッグします。
削除の方法は、アイコンをタップしてから削除対象を2回タップします。
範囲コピーと同様に削除することもできます。
「transp.」は移調、「quantize」は手で演奏したデータを設定した音符の範囲で揃えます。
以上が基本で押えておきたい点でした。
私がアホなのか、Modstep との相性が悪いのか、コピー・削除で結構悩みました(笑)
モジュレーションは今だに分からない事もあるし…
そんな中途半端な知識ですが、次回はMIDIの打ち込みに行きます!
アナクロじゃない、アナログなんだ!
※model 15の和音単音に誤りがあったので追記と修正を行いました。
昨年の秋頃から、興味を惹かれる音楽アプリがいくつかリリースされたので、その紹介がてら音楽制作におけるiPadの立ち位置なんぞを考察してみようと企んでいました。
…していたのですが、この度とても魅力的なシンセアプリがリリースされたので、方向転換してシンセサイザーについて語っちゃいます。
アナログシンセについて
電子楽器であるシンセサイザーは、全て解説していたらブログ4,5回に渡ってしまうほど種類が豊富ですが、その中のアナログシンセサイザーはシンセの元祖と呼べるもので、アナログ回路を使って音を出します。
アナログ回路というと、なんか真空管のようなものが並んでいるのを想像できますが、普通にコンデンサーやチップが並んでいる電子回路です。
買ったアナログシンセを分解したら電子回路しかなくて「これはアナログじゃない!」と怒った人がいるとかいないとか…
今もアナログシンセのファンは多く、2016年でも新しいアナログシンセが発売され続けていますし、アナログシンセをシミュレートしたアプリも沢山あります。
私もハード・ソフトともにアナログシンセをいくつか持っていますが、ハードのお気に入りは目下のとろこReon社の「Driftbox-R Limited」です。
小っちゃいです。鍵盤付いていません。MIDIも対応していませんが、いい音するんですわ~これが。
正直このシンセの魅力を十分に出していないと思いますが、参考に超鉄板なPC用シンセソフト「Sylenth1]→Driftbox→iOSアプリ「Thor」の順で同じフレーズを鳴らしてみました。
比較しやすいように音のセッティングは近づけています。
音のキャラクターの違いがハッキリ分かりますね。
Driftboxはとにかく音のアタックがパッツンパッツンですし、周波数の微妙なズレによるうねりも心地良く、ハマると病みつきになりますよ。
音をいじくっていると他の楽器と音程が合わなくて苦労しますが…でも、そこもいい!
※なお、電源入れてからしばらくしないと音が安定しません(笑)
あと、音の強弱がつけられない、音に経時的な変化を付けられないので、一度録音してそのデータをいじる必要があります。
リアルタイムでツマミを回せばいいんですけどね…
(ツマミを上手に回す事を「ツマミ芸」といいます(笑))
発音のコントロールはCV/GATEという古い規格で行いますので注意が必要です。
対応している機材やソフトが少ないですが、2016年時点で簡単に手に入るところではKorg社のSQ-1かArturia社のBeatStep Proが使えます。
ここまでは3~4月に準備していた内容で、もう一つくらいネタができたらアナログシンセについて書こうかなあ、とのんびりしていたらMoog社から「Model 15」というアプリがリリースされ、びっくりたまげました。
モジュラーシンセアプリ「Model 15」
モジュラーシンセってなんじゃい?という方のために簡単に説明。
シンセには大抵「音を作る」「音の形を整える」「音の色付けをする」機能が1つの機材に含まれていますが、モジュラーシンセは役割ごとにモジュール(部品)として独立しており、それらをケーブルでつないで音を出します。
なので、モジュールとケーブルを複数買わなくてはならないので面倒ですが、自分の好きなモジュールを組み合わせることができるのでカスタマイズ性に優れています。
で、Moog社というアナログシンセの御大が「Model 15」というバカでかいモジュラーシンセを昔発売していたのですが、この度iOSアプリとして復活したという訳です。
私は実機のModel 15を知らないですし、最近になってアナログシンセの魅力を知ったのですが、iMS-20,iSEM,iMINIなどアナログシンセをシミュレートしたアプリがいくつもあるのをスルーしていた中でようやく買う気になるほどにはアリな音です。
まあ、同じMoog社がリリースしているAnimoogも好きですし、実機でもMINITAURというアナログシンセを持っているので、Moogびいきなのはありますけどね(笑)
ではいきなりスクリーンショット。やたらと縦に長いので注意!
※モジュール部分だけを切り出しています。
ナンじゃこりゃ~
お察しの通り、iPad一画面では収まりません(笑)
ですが良くできていて、操作はそれほど苦になりません。
ケーブルを差すアクションは2通りあって、一つはジャックからジャックへ指を滑らす方法、もう一つはジャックをダブルタップして差す方法です。
画面外のジャックに繋ぐときはダブルタップする方法を使います。
一見して「ムリ」と感じてしまうかも知れませんが、音を出すまでの丁寧なチュートリアル(英語)もありますし、なんだったらプリセットを購入してしまえばいじる必要もありません。最初から付いているプリセットをちょこちょこいじって少しずつ覚えていけば長く遊べるのではないでしょうか。
で、このアプリの魅力は音もそうなのですが、独自の鍵盤もなかなか良いのです。
Model 15 には普通の鍵盤、Animoogで使われている鍵盤、リボン鍵盤の3種類の鍵盤が選べます。
このうちAnimoogで使われている鍵盤はタッチする位置によって音色が変わるので、表現力があります。
この鍵盤のおかげでムチャクチャ楽しいです。
でも手弾きは下手くそなので、なんとかMIDIでコントロールできないかと試してみましたが無理なようです…残念!
どなたかMIDIでAnimoog鍵盤をコントロールする方法を知っていらしたら教えて下さい!
音については、最近のキラキラしたシンセの音でもステレオ感バリバリでもないですが、Moogらしい味があります。ただ、人によっては物足りないかもしれません。
あと、和音を弾けるプリセットもありますが、基本はモノフォニック(複数の鍵盤を同時押ししても1つの音しか出ない)と思った方が幸せです。
2016/5/16追記:コントロールアウトプットモジュールに和音を選択できるスイッチ がありました。すみません。
では最後にanimoog鍵盤を使ってModel 15を弾いてみたデモをどうぞ。
ドラムは「ElasticDrums」を使っています。
お手軽作曲法3
最近、「10~20年後には人間の仕事の半分が機械に取って代わる」なんて記事が
あちこちで見受けられますが、音楽に関して言えば、半自動化にはなるけれども、
完全な自動化にはならないんじゃないかなぁ、と思います。
それは技術的な話もあるけれども、昨今の海外におけるアナログレコードブーム、
わざとヨれたリズムの採用、アナログシンセの発売ラッシュなど、アンチ自動化
ともいえるような流れが来ているからです。
「機械化されてたまるか、ちくしょー!」ってなもんです。
音楽はこれからも自動化の勢力とそれに対抗する勢力のせめぎあいが続くと
予想されますが、その拮抗によって洗練された新しいジャンルが生まれたら
面白いなぁと思います。
あとは自動化にうんざりした人が癒しを求める音楽とかね。
まぁ、趣味でやってる私には全く関係ないですけどね。
という訳で、素人としては自動化の恩恵を浴びまくりたいと思います。
サイコロでフレーズを決める
キーボードをピラピラ弾いてもいいフレーズが出てこない!
そんな時はサイコロに頼りましょう(笑)
前回の記事で音が出るリズムを16パターン紹介しました。
そんでもって、音はドから上のドまで12個あります。
スケールだと音の数は8です。
で、世の中には16面、12面、8面のサイコロがあります。
・・・いける!
という訳でサイコロを買ってみました。
(左から16面、12面、8面、4面)
4面のサイコロはオクターブを決めるのに使います(出目に+1)
早速リズムパターンを決めるため、前回の一覧に番号を振ります。
16番目は休んでもいいし、前の音を伸ばしてもいいルールとしました。
で、サイコロを4分の4拍子で2小節分振ると次のようになりました。
4、5、14、16、2、4、4、7
次に調を決めます。12面のサイコロを振って…4と出たのでD#メジャーです。
…なんか4が良く出るな
最後はリズムの各音の音程ですが、8面と4面を一緒に振ります。
8面は1から順に D#、F、G、G#、A#、C、D、上のD#
4面は1から順に C2~B2、C3~B3、C4~B4、C5~B5です。
ここで問題発生。4面は出目の偏りがひどく、上手くバラけません(泣)
なので、オクターブは自分で判断する事にしました。
そんなこんなで出来たフレーズがこちら。
これだけじゃつまらないので、適当にドラム、ベース、パッドを追加してみました。
まぁ、なんとか聞けるかんじですかね。
さらに自動化してみる
ここで終わってもいいんですが、せっかくiPadという文明の利器があるので、
活用してみましょう。
今回使うのはEgoistというサンプラー(?)です。
これはオーディオサンプルを取り込み、それを16個にスライスしたものを並べて
再生するアプリです。
ただ再生するのではなく、再生するスライスの順番を任意に設定できますし、
ランダムに再生する事もできます。
サンプル再生画面
この画面の右にあるサイコロボタンがランダムボタンです。
さらにEgoistは色々なエフェクトを16分音符単位でかけられ、
おまけにドラムとベースのフレーズも作れます。
エフェクト画面
ドラムとベースの設定画面
画面を見て気づかれたと思いますが、エフェクトにもドラム・ベースにも
サイコロボタンが付いています。
つまり、自分で考えなくても気に入ったフレーズができるまで、
サイコロボタンを連打すればいいんです!なんてお手軽なんでしょう!
・・・てな感じで最初に作ったフレーズを使って2パターン作って並べたのがこちら。
もはや原形を留めてない(笑)
最初にエラそうな事書きましたが、素人としてはこうやって自動で
アレコレしてくれるのは非常にありがたいし、楽しいです。自動化万歳!
お手軽作曲法2
以前、自動演奏アプリ(?)を使った作曲法を紹介しましたが、
今回は別のアプローチを紹介します。
当然ですが、音楽はドラム・ベース・コード楽器・メロディー・効果音など
複数のパートで構成されています。
では、作曲するにはどのパートから手を付けるのが良いのでしょうか?
これは人によって様々で、どこから作ってもいいように思いますが、
自分はドラムから作っていくと大抵行き詰ります。
ドラムのパターンに合わせて鍵盤を適当に叩きながらフレーズを探しているので、
演奏技術がない自分では単調なフレーズしか弾けないからです。
…分かっちゃいるけど、文書にすると凹むなぁ
演奏技術がなくても、頭の中にフレーズがふと浮かび上がってきて、
それをDAWに打ち込められれば問題ないけど、そんなチート能力もってないし。
という訳で、ダメダメな底辺DTMerとしては、試行錯誤と偶然に頼ります。
具体的には、まずシーケンスを組んでその中で音程をいじっていく方法です。
例えばiPadでCubasisを使うならば、ループを作りその中に16分音符を並べて
シーケンスを組みます。
次にループ再生しながら適当に音を上げ下げしてパターンを完成させます。
この例ではループ中に16分音符が詰まってますが、適当に音を抜いたり伸ばしたり
するとよりメロディーっぽくなります。
音の抜き・伸ばしを考える際にはリズムパターンを頭に入れておくと捗るかも
知れません。
1拍を16分音符4つとして考えるならば、音の出だしリズムのパターンは
下記プラス全休符の16パターンになります。
※図では休符ですが、休符にしないで音を伸ばしてもいいです。
これらを意識しながらフレーズを形作っていけば、マンネリを防げるかも知れません。
Cubasis上ではちとやりにくいという方は、シンセアプリに付いている
アルペジエーターや下記のようなアプリを試してみて下さい。
StepPolyArpは画面中央でパターンを組んで、下のキーボードを押すとその音を基準に
パターンがループするというアルペジエーターです。
音はこのアプリ内蔵の音を鳴らせますし、外部シンセにMIDIデータを送って
鳴らすこともできます。
アルペジエーターはキーボードで押えた音を基準としてパターン通りに音を
鳴らすものです。
似たようなものにシーケンサーがありますが、こちらは基準音がなく、
純粋に音のパターンを組んでいくものです。
iPadで使えるシーケンサーではModstepが良さげですが、
お値段的に未だ手を出していません。
他のシーケンサーとしては、手先が器用な方、もしくはMIDIコントローラーの
設定が苦にならない方はThesysがお勧めです。
これねー、チョーイケてるアプリなんですけど、画面が小さいんすよ。
iPad Airだと各ステップの幅が3mm、拡大しても5mmなんすよ。ちょっとズレると
音が変わっちゃうんすよ。
iPad proだったら使いやすいんかなー。
かなり強烈に他アプリを掴むので、IAAでコケるアプリでも普通に鳴らせるし、
シーケンスも細かく設定できていいんだけどなー。
iPadの音楽アプリ(シンセサイザー編3)
シンセサイザー編1で「どのアプリも基本の音は大体同じ。フィルターなどで加工した時にアプリ独自の音になる」旨の発言をしましたが、基本の音でも結構違いが出る事が判明しましたので、訂正とお詫び申し上げます。
で、実際にはどれくらい違うのか反省も込めて検証してみました。
使ったアプリはこちらの5種類。選んだ基準は基本のノコギリ波(saw)が出る事です。
う~ん、こうやって並べるとすごいなぁ。
では早速検証結果を見てみましょう。
検証1:基本波形(ノコギリ波)
ド(C2,C3,C4,C5)を使ったシーケンスパターンをノコギリ波で鳴らしたものを比較しました。2小節(C2~C4)+2小節(C3~C5)の4小節で1つのパターンです。
順番はThor→Cassini→Z3TA+→Tera→Magellanです。
音はこちら
で、波形はこちら
Thor
Z3TA+
Tera synth
Magellan
波形で見ると結構違いが出ていました。特に高音で各アプリごとの特徴が出ているかと思います。
高音…10kHz超えた音…それはおっさんには聞こえないモスキート音なる領域(笑)
※モスキート音は16kHz周辺です。
冗談はおいといて、波形を並べてもイマイチ分かりにくいと思いますので、画像を重ねて加工したものを挙げます。
こうやって重ねてみると、高音域でバラツキが出ているのがはっきりと分かるかと思います。
検証2:フィルターを掛けた音
次に、ローパスフィルターを掛けたノコギリ波(カットオフ:4kHz、レゾナンス:5.8dB)を比較してみました。パターンは2小節です。
音はこちら
※上手くリンクを貼れなかったので、お手数ですが下記リンクを別タブで開いてください。
Blog151215b by S.S.T.R. | Free Listening on SoundCloud
波形はこんな感じ
Thor
Z3TA+
Tera synth
Magellan
素の音に比べて大分違いが出ていますね。ローパスフィルターのカットオフはその周波数より上をスパッと切るのではなく、シンセ独自の残し方をするんだなぁと改めて勉強になりました。
あと、今回の検証で自分が高音が聞こえにくいのも自覚しました(泣)