電子楽器はピアノの夢を見るか?

 

およそ楽器と呼ばれるものは誕生してから大きく姿を変えることなく、
長い間愛され続けていますが、電子楽器は流行り廃りが結構早いペースで入れ替わっています。

 

電子楽器のサイクルが早いポジティブな理由としては、技術の進歩が
早いからという事が考えられます。

タンスのように馬鹿でかいシンセサイザーはあっという間にテーブル大
までコンパクトになりました。

また、大きさだけでなく機能もどんどん複雑な事ができるようになって
おり、進化の質と早さが昔の電子楽器を敬遠する要因の一つになると
言っても良いかと思います。
※昨今のアナログ回帰という流れもありますが…

 

一方、ネガティブな理由としては、音が他の楽器に比べて単純だからという事が考えられます。

倍音の構成、発音のバリエーションや表現力において他のメジャー楽器に
比べ、力不足が否めません。
ですので、手を変え品を変えではないですが、次々と流行りの音が生まれ、廃れていくのだと思います。

 

とはいえ、冨田勲先生は電子楽器でもクラッシック楽器に負けない音楽が
作れることを証明しました。
しかし、その労力は通常の楽器演奏の何倍もかかっており、ホイホイと
できるものではありません。

 

さて、時代は進み電子楽器の歴史という歩みが堅実になりはじめた現代に
おいて、流行り廃りのサイクルの中から定番と呼ばれるような音が
いくつか生まれてきました。

 

どれが定番なのかという点についてはまだまだ個人差がありますが、
私個人はそのうちの一つとしてTB-303を挙げたいと思います。
いわゆるアシッドベースですね。

 

知らない方のために、ざっくりと説明すると昔ローランド社がギターの
練習時にベースを鳴らせる楽器を作ったら、あれよという間にその楽器を
軸にした音楽ジャンルが生まれ、販売が終わった後も実機・アプリケーション問わず様々なクローンが作られ、支持されているのがTB-303です。

 

iPadでもいくつかTB-303ライクなアプリがあったのですが、2017年1月に結構いい感じのアプリが登場しました。

Troublemaker

Troublemaker

  • Bram Bos
  • ミュージック
  • ¥1,200

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急いで補足すると、TB-303は鍵盤ではなくシーケンサーで発音させる楽器で一般的なシンセサイザーとはちょっと違います。
このTroublemakerは外付けキーボードや他アプリで弾く事ができますが、本領としては最大16ステップのシーケンスを繰り返す事だと思います。

 

思いっきり主観ですが、このTroublemakerが出るまではRebirthがiPadにおいて一番TB-303ライクだと思っていました。

↓Rebirthはこんな感じのアプリ(上半分の銀色の部分がTB-303。2台ある)

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ただ、Rebirthは操作性も実機に似せてしまったため、複雑な事をやろうとすると結構手間がかかってました。

 

が、Troublemakerは音が良いだけでなく、操作性・視認性も良く、
外部アプリからもコントロールできるのです。

 

少し実験してみたのですが、外部の鍵盤だとちょっと弾きづらい印象なので、発音はTroublemakerでコントロールし、カットオフやレゾナンス等のパラメーターを外部アプリでいじると安定性も含めいい感じになります。

 

となるとここで登場するのが、以前紹介したModStepです。
ModStepとTroublemakerをAbletonLinkでシンクさせ、メロディーラインはTroublemakerで、パラメーターのモジュレーションをModStepで演奏させるとチョーいい感じになります!

ポイントはModStepにモジュレーションのみを担当させるために
TroublemakerをAUではなくIAAで読み込むことです。

 

参考までに私のモジュレーション設定とTroublemakerのマニュアルからの抜粋を下に貼ります。

 

↓マニュアルからの抜粋(数字はMIDI CCナンバー)

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↓ModStepの設定。小さくて見にくいですね…ごめんなさい。

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Troublemakerをいじっていて、電子楽器は音そのものはまだまだメジャー楽器には遠いけど、表現力については表現のしやすさも含め、少しずつ近づいているのじゃないかなぁ、と少し興奮してしまいました。

 

定番の音をいかに表現豊かにするか挑戦する音楽が流行らないかなぁ