アナクロじゃない、アナログなんだ!

※model 15の和音単音に誤りがあったので追記と修正を行いました。

昨年の秋頃から、興味を惹かれる音楽アプリがいくつかリリースされたので、その紹介がてら音楽制作におけるiPadの立ち位置なんぞを考察してみようと企んでいました。

…していたのですが、この度とても魅力的なシンセアプリがリリースされたので、方向転換してシンセサイザーについて語っちゃいます。

 

 アナログシンセについて

電子楽器であるシンセサイザーは、全て解説していたらブログ4,5回に渡ってしまうほど種類が豊富ですが、その中のアナログシンセサイザーはシンセの元祖と呼べるもので、アナログ回路を使って音を出します。

アナログ回路というと、なんか真空管のようなものが並んでいるのを想像できますが、普通にコンデンサーやチップが並んでいる電子回路です。

買ったアナログシンセを分解したら電子回路しかなくて「これはアナログじゃない!」と怒った人がいるとかいないとか…

 

今もアナログシンセのファンは多く、2016年でも新しいアナログシンセが発売され続けていますし、アナログシンセをシミュレートしたアプリも沢山あります。

 

私もハード・ソフトともにアナログシンセをいくつか持っていますが、ハードのお気に入りは目下のとろこReon社の「Driftbox-R Limited」です。

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 小っちゃいです。鍵盤付いていません。MIDIも対応していませんが、いい音するんですわ~これが。

 

正直このシンセの魅力を十分に出していないと思いますが、参考に超鉄板なPC用シンセソフト「Sylenth1]→Driftbox→iOSアプリ「Thor」の順で同じフレーズを鳴らしてみました。

soundcloud.com

 比較しやすいように音のセッティングは近づけています。

音のキャラクターの違いがハッキリ分かりますね。

 

Driftboxはとにかく音のアタックがパッツンパッツンですし、周波数の微妙なズレによるうねりも心地良く、ハマると病みつきになりますよ。

音をいじくっていると他の楽器と音程が合わなくて苦労しますが…でも、そこもいい!

※なお、電源入れてからしばらくしないと音が安定しません(笑) 

 

あと、音の強弱がつけられない、音に経時的な変化を付けられないので、一度録音してそのデータをいじる必要があります。

リアルタイムでツマミを回せばいいんですけどね…

(ツマミを上手に回す事を「ツマミ芸」といいます(笑))

 

発音のコントロールはCV/GATEという古い規格で行いますので注意が必要です。

対応している機材やソフトが少ないですが、2016年時点で簡単に手に入るところではKorg社のSQ-1かArturia社のBeatStep Proが使えます。

 

REON / Driftbox R Limited アナログシンセサイザー
 
KORG コルグ ステップ・シーケンサー SQ-1

KORG コルグ ステップ・シーケンサー SQ-1

 

 

ここまでは3~4月に準備していた内容で、もう一つくらいネタができたらアナログシンセについて書こうかなあ、とのんびりしていたらMoog社から「Model 15」というアプリがリリースされ、びっくりたまげました。

 

モジュラーシンセアプリ「Model 15」

モジュラーシンセってなんじゃい?という方のために簡単に説明。

シンセには大抵「音を作る」「音の形を整える」「音の色付けをする」機能が1つの機材に含まれていますが、モジュラーシンセは役割ごとにモジュール(部品)として独立しており、それらをケーブルでつないで音を出します。

なので、モジュールとケーブルを複数買わなくてはならないので面倒ですが、自分の好きなモジュールを組み合わせることができるのでカスタマイズ性に優れています。

 

で、Moog社というアナログシンセの御大が「Model 15」というバカでかいモジュラーシンセを昔発売していたのですが、この度iOSアプリとして復活したという訳です。 

Model 15

Model 15

  • Moog Music Inc.
  • ミュージック
  • ¥3,600

私は実機のModel 15を知らないですし、最近になってアナログシンセの魅力を知ったのですが、iMS-20,iSEM,iMINIなどアナログシンセをシミュレートしたアプリがいくつもあるのをスルーしていた中でようやく買う気になるほどにはアリな音です。

 

まあ、同じMoog社がリリースしているAnimoogも好きですし、実機でもMINITAURというアナログシンセを持っているので、Moogびいきなのはありますけどね(笑)

 

ではいきなりスクリーンショット。やたらと縦に長いので注意!

※モジュール部分だけを切り出しています。

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ナンじゃこりゃ~

 

お察しの通り、iPad一画面では収まりません(笑)

ですが良くできていて、操作はそれほど苦になりません。

ケーブルを差すアクションは2通りあって、一つはジャックからジャックへ指を滑らす方法、もう一つはジャックをダブルタップして差す方法です。

画面外のジャックに繋ぐときはダブルタップする方法を使います。

 

一見して「ムリ」と感じてしまうかも知れませんが、音を出すまでの丁寧なチュートリアル(英語)もありますし、なんだったらプリセットを購入してしまえばいじる必要もありません。最初から付いているプリセットをちょこちょこいじって少しずつ覚えていけば長く遊べるのではないでしょうか。

 

で、このアプリの魅力は音もそうなのですが、独自の鍵盤もなかなか良いのです。

Model 15 には普通の鍵盤、Animoogで使われている鍵盤、リボン鍵盤の3種類の鍵盤が選べます。

このうちAnimoogで使われている鍵盤はタッチする位置によって音色が変わるので、表現力があります。

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この鍵盤のおかげでムチャクチャ楽しいです。

でも手弾きは下手くそなので、なんとかMIDIでコントロールできないかと試してみましたが無理なようです…残念!

どなたかMIDIでAnimoog鍵盤をコントロールする方法を知っていらしたら教えて下さい!

 

音については、最近のキラキラしたシンセの音でもステレオ感バリバリでもないですが、Moogらしい味があります。ただ、人によっては物足りないかもしれません。

あと、和音を弾けるプリセットもありますが、基本はモノフォニック(複数の鍵盤を同時押ししても1つの音しか出ない)と思った方が幸せです。

2016/5/16追記:コントロールアウトプットモジュールに和音を選択できるスイッチ がありました。すみません。

 

では最後にanimoog鍵盤を使ってModel 15を弾いてみたデモをどうぞ。

ドラムは「ElasticDrums」を使っています。

soundcloud.com