お手軽作曲法3
最近、「10~20年後には人間の仕事の半分が機械に取って代わる」なんて記事が
あちこちで見受けられますが、音楽に関して言えば、半自動化にはなるけれども、
完全な自動化にはならないんじゃないかなぁ、と思います。
それは技術的な話もあるけれども、昨今の海外におけるアナログレコードブーム、
わざとヨれたリズムの採用、アナログシンセの発売ラッシュなど、アンチ自動化
ともいえるような流れが来ているからです。
「機械化されてたまるか、ちくしょー!」ってなもんです。
音楽はこれからも自動化の勢力とそれに対抗する勢力のせめぎあいが続くと
予想されますが、その拮抗によって洗練された新しいジャンルが生まれたら
面白いなぁと思います。
あとは自動化にうんざりした人が癒しを求める音楽とかね。
まぁ、趣味でやってる私には全く関係ないですけどね。
という訳で、素人としては自動化の恩恵を浴びまくりたいと思います。
サイコロでフレーズを決める
キーボードをピラピラ弾いてもいいフレーズが出てこない!
そんな時はサイコロに頼りましょう(笑)
前回の記事で音が出るリズムを16パターン紹介しました。
そんでもって、音はドから上のドまで12個あります。
スケールだと音の数は8です。
で、世の中には16面、12面、8面のサイコロがあります。
・・・いける!
という訳でサイコロを買ってみました。
(左から16面、12面、8面、4面)
4面のサイコロはオクターブを決めるのに使います(出目に+1)
早速リズムパターンを決めるため、前回の一覧に番号を振ります。
16番目は休んでもいいし、前の音を伸ばしてもいいルールとしました。
で、サイコロを4分の4拍子で2小節分振ると次のようになりました。
4、5、14、16、2、4、4、7
次に調を決めます。12面のサイコロを振って…4と出たのでD#メジャーです。
…なんか4が良く出るな
最後はリズムの各音の音程ですが、8面と4面を一緒に振ります。
8面は1から順に D#、F、G、G#、A#、C、D、上のD#
4面は1から順に C2~B2、C3~B3、C4~B4、C5~B5です。
ここで問題発生。4面は出目の偏りがひどく、上手くバラけません(泣)
なので、オクターブは自分で判断する事にしました。
そんなこんなで出来たフレーズがこちら。
これだけじゃつまらないので、適当にドラム、ベース、パッドを追加してみました。
まぁ、なんとか聞けるかんじですかね。
さらに自動化してみる
ここで終わってもいいんですが、せっかくiPadという文明の利器があるので、
活用してみましょう。
今回使うのはEgoistというサンプラー(?)です。
これはオーディオサンプルを取り込み、それを16個にスライスしたものを並べて
再生するアプリです。
ただ再生するのではなく、再生するスライスの順番を任意に設定できますし、
ランダムに再生する事もできます。
サンプル再生画面
この画面の右にあるサイコロボタンがランダムボタンです。
さらにEgoistは色々なエフェクトを16分音符単位でかけられ、
おまけにドラムとベースのフレーズも作れます。
エフェクト画面
ドラムとベースの設定画面
画面を見て気づかれたと思いますが、エフェクトにもドラム・ベースにも
サイコロボタンが付いています。
つまり、自分で考えなくても気に入ったフレーズができるまで、
サイコロボタンを連打すればいいんです!なんてお手軽なんでしょう!
・・・てな感じで最初に作ったフレーズを使って2パターン作って並べたのがこちら。
もはや原形を留めてない(笑)
最初にエラそうな事書きましたが、素人としてはこうやって自動で
アレコレしてくれるのは非常にありがたいし、楽しいです。自動化万歳!
お手軽作曲法2
以前、自動演奏アプリ(?)を使った作曲法を紹介しましたが、
今回は別のアプローチを紹介します。
当然ですが、音楽はドラム・ベース・コード楽器・メロディー・効果音など
複数のパートで構成されています。
では、作曲するにはどのパートから手を付けるのが良いのでしょうか?
これは人によって様々で、どこから作ってもいいように思いますが、
自分はドラムから作っていくと大抵行き詰ります。
ドラムのパターンに合わせて鍵盤を適当に叩きながらフレーズを探しているので、
演奏技術がない自分では単調なフレーズしか弾けないからです。
…分かっちゃいるけど、文書にすると凹むなぁ
演奏技術がなくても、頭の中にフレーズがふと浮かび上がってきて、
それをDAWに打ち込められれば問題ないけど、そんなチート能力もってないし。
という訳で、ダメダメな底辺DTMerとしては、試行錯誤と偶然に頼ります。
具体的には、まずシーケンスを組んでその中で音程をいじっていく方法です。
例えばiPadでCubasisを使うならば、ループを作りその中に16分音符を並べて
シーケンスを組みます。
次にループ再生しながら適当に音を上げ下げしてパターンを完成させます。
この例ではループ中に16分音符が詰まってますが、適当に音を抜いたり伸ばしたり
するとよりメロディーっぽくなります。
音の抜き・伸ばしを考える際にはリズムパターンを頭に入れておくと捗るかも
知れません。
1拍を16分音符4つとして考えるならば、音の出だしリズムのパターンは
下記プラス全休符の16パターンになります。
※図では休符ですが、休符にしないで音を伸ばしてもいいです。
これらを意識しながらフレーズを形作っていけば、マンネリを防げるかも知れません。
Cubasis上ではちとやりにくいという方は、シンセアプリに付いている
アルペジエーターや下記のようなアプリを試してみて下さい。
StepPolyArpは画面中央でパターンを組んで、下のキーボードを押すとその音を基準に
パターンがループするというアルペジエーターです。
音はこのアプリ内蔵の音を鳴らせますし、外部シンセにMIDIデータを送って
鳴らすこともできます。
アルペジエーターはキーボードで押えた音を基準としてパターン通りに音を
鳴らすものです。
似たようなものにシーケンサーがありますが、こちらは基準音がなく、
純粋に音のパターンを組んでいくものです。
iPadで使えるシーケンサーではModstepが良さげですが、
お値段的に未だ手を出していません。
他のシーケンサーとしては、手先が器用な方、もしくはMIDIコントローラーの
設定が苦にならない方はThesysがお勧めです。
これねー、チョーイケてるアプリなんですけど、画面が小さいんすよ。
iPad Airだと各ステップの幅が3mm、拡大しても5mmなんすよ。ちょっとズレると
音が変わっちゃうんすよ。
iPad proだったら使いやすいんかなー。
かなり強烈に他アプリを掴むので、IAAでコケるアプリでも普通に鳴らせるし、
シーケンスも細かく設定できていいんだけどなー。
iPadの音楽アプリ(シンセサイザー編3)
シンセサイザー編1で「どのアプリも基本の音は大体同じ。フィルターなどで加工した時にアプリ独自の音になる」旨の発言をしましたが、基本の音でも結構違いが出る事が判明しましたので、訂正とお詫び申し上げます。
で、実際にはどれくらい違うのか反省も込めて検証してみました。
使ったアプリはこちらの5種類。選んだ基準は基本のノコギリ波(saw)が出る事です。
う~ん、こうやって並べるとすごいなぁ。
では早速検証結果を見てみましょう。
検証1:基本波形(ノコギリ波)
ド(C2,C3,C4,C5)を使ったシーケンスパターンをノコギリ波で鳴らしたものを比較しました。2小節(C2~C4)+2小節(C3~C5)の4小節で1つのパターンです。
順番はThor→Cassini→Z3TA+→Tera→Magellanです。
音はこちら
で、波形はこちら
Thor
Z3TA+
Tera synth
Magellan
波形で見ると結構違いが出ていました。特に高音で各アプリごとの特徴が出ているかと思います。
高音…10kHz超えた音…それはおっさんには聞こえないモスキート音なる領域(笑)
※モスキート音は16kHz周辺です。
冗談はおいといて、波形を並べてもイマイチ分かりにくいと思いますので、画像を重ねて加工したものを挙げます。
こうやって重ねてみると、高音域でバラツキが出ているのがはっきりと分かるかと思います。
検証2:フィルターを掛けた音
次に、ローパスフィルターを掛けたノコギリ波(カットオフ:4kHz、レゾナンス:5.8dB)を比較してみました。パターンは2小節です。
音はこちら
※上手くリンクを貼れなかったので、お手数ですが下記リンクを別タブで開いてください。
Blog151215b by S.S.T.R. | Free Listening on SoundCloud
波形はこんな感じ
Thor
Z3TA+
Tera synth
Magellan
素の音に比べて大分違いが出ていますね。ローパスフィルターのカットオフはその周波数より上をスパッと切るのではなく、シンセ独自の残し方をするんだなぁと改めて勉強になりました。
あと、今回の検証で自分が高音が聞こえにくいのも自覚しました(泣)
iPadでのDTMで苦労するところ
iPad用の音楽アプリはホントに豊富で作曲する環境としては結構充実しています。
とはいえ使い込んでいくうちに不満点が見えてくるのは何事も同じですよね。
という訳で今回は、もちっと何とかならんかなぁと思うことをつらつら書いてみます。
1.音の入力手段がない(訳ではないが…)
iPadからの出力はイヤホンジャックとスピーカーがあるので何とかなりますが、入力が結構苦労します。
内蔵マイクは…無かった事にして(笑)、iPadへの音の入力はオーディオインターフェースを繋ぐしか方法がありません。
で、検索してみると目につくのはギター用のもので、外部シンセなんかと繋げられて出先でも使えそうなのはRolandのDUO-CAPTURE EX位です。
Roland ローランド オーディオインターフェイス DUO-CAPTURE EX UA-22
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SteinbergのUR22mkIIも良さそうですが、DUO-CAPTURE EXは電池も使えるので使い勝手がいいのかなぁと思います。
Steinberg スタインバーグ 2x2 USB2.0 24bit/192kHz オーディオインターフェース UR22mkII
- 出版社/メーカー: Steinberg
- 発売日: 2015/11/13
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私は使っていないので他人の評価ですが、どちらも音質には目をつぶった方がいいらしいです…お金に糸目をつけなければAPOGEEのDUETやRMEのBabyfaceがありますけどね。
リアルタイムにこだわらなければ、オーディオデータをDropBoxに放り込んでiPadで開けばいいんですが、最近トチ狂って色々買ってしまった機材の音をリアルタイムで取り込みたいと悩んでおります。
あと、前の記事でiConnectMIDI4+Lightning Editionを紹介しましたが、PCとの連携において若干難があったため、今は複数の機材のMIDI信号を繋ぐMIDIインターフェースとして使っています。無駄にならなくて良かった…
2.IAA、AudioBusが不安定
アプリ同士を連携させるために必須となるIAA(インターアプリオーディオ )とAudioBusがこれまた不安定なんですよね。
例えば、Cubasisに他アプリの音を録音しようとすると時々他アプリが全く音が出なくなる事があります。
もう一度両方のアプリを立ち上げ直せばいいんですが、いちいち面倒です。
何となくCubasisに原因があるような気がしますが、ちゃんとは調べていません。
連携といえばアプリの切り替えも面倒ですよね。iPad Proの2画面対応でヒャッハーしそうになりましたが、画面参照にしか使えないと聞いてAir3待ち状態です。
3.小さいノブやスイッチを誤操作しやすい
これこそiPad Pro買えば解決しそう。
でもまあ、プロじゃないiPadはコンパクトだから仕方ないですかね。
…なんて大人な事は言わない!
特に指が太い訳じゃないのにノブやスライダーを間違えてイライラする(単なる不器用?)のでこんなん買っちゃいました。
これでシンセのパラメーターもグリグリ動かせるぜ!
と思ったのですが、いちいちアプリのノブ一つ一つと繋ぐ必要があり、その作業が面倒です。
しかもアプリによっては一生懸命16個のノブを設定しても保存されず、アプリを再起動したらもう一度設定のやり直しという地獄のオプションがつきます(笑)
そんな便利なんだか微妙なMIDIコントローラーですが、腰を据えてDTMする時にはやっぱり重宝します(ヒント:ステップシーケンサー)
とまあ、不満を挙げましたが、電車の中でも使えるiPad(と音楽アプリ)はやっぱり便利ですね!
あなたとデジタルで繋がりたい(iPad談)
前回の記事でUSBクラス・コンプライアントに対応していないオーディオインターフェイスを買ってしまい、iPadの音をスピーカーから出せない(イヤホンジャック経由では出せる)事態に陥ってしまいました。
このままではいかんと、デジタルの音をオーディオインターフェイスまでお届けする方法を試行錯誤した末、できるようにはなったのですが、その方法を紹介する前に少し補足説明と寄り道をさせていただきます。
まず、iPadのイヤホンジャック経由では何がいけないのかという事について。
デジタルオーディオでは文字通りデジタルな音を扱っていますが、全てデジタルで完結するのではなく、最終的にはスピーカー(ヘッドホン)というアナログ機器を通さないと我々の耳には音が聞こえません。録音する場合もマイク(アナログ機器)から音が入力されます。
ここでキモとなるのが、デジタルからアナログ、アナログからデジタルへと変換する部品です。これらはそれぞれD/Aコンバータ(DAC)、A/Dコンバータと呼ばれています。
もちろんiPadにもこのコンバータが入っているのですが、音質的に最高という訳ではありません。
なので、より高品質なコンバータを積んでいるオーディオインターフェイスにデジタルデータを渡すことでゴキゲンな音質で音楽制作を楽しもうっていう寸法です。
関係ないですが、ポータブルオーディオプレイヤー用のアンプには普通のイヤホンジャックと繋げられるものがあります。これはプレイヤー内で一度アナログに変換された音をアンプ内でデジタル化→アナログ化しているので正直意味がないと思うのですが…私がヨドバシカメラで実験した限りでは微妙な感じでした。
今回の話とは全く別ですが、後々の話に絡んでくるのでちょと寄り道。
メロディーなどを入力するとき、iPad上の鍵盤で試し弾きをしたり、簡単なフレーズだったらそのまま鍵盤から入力することがあると思います。
慣れれば画面上の鍵盤でも十分なのですが、どうしても一度に弾ける音の幅が限られてしまうんですよね。
そこで、市販のMIDIキーボードをiPadに繋いで作業効率を上げようって事になります。
MIDIキーボードの出力形式は大抵USB(とMIDI端子)、iPadはLightningですのでUSBからLightningへの変換が必要となります。
ここで何も知識がなければLightning - USBケーブルを買えばいいんじゃね?となりますが実は違います。このブログの最初の方でも書きましたが、外部機器とiPadを繋げられるのは「Lightning - USBカメラアダプタ」です。
MIDIキーボードはUSBから給電するタイプのものとACアダプターを使うものがあり、USB給電タイプはiPadの電気をチューチューするので注意しましょう。
大事な事なのでappleストアのキャプチャ画像も貼っちゃいます。
ちなみに私は間違えました(笑)
iPadからデジタルデータを取り込む
さて、やっと本題です。
USBクラス・コンプライアントに対応していないオーディオインターフェイスといえどもパソコンには接続できます。
では、iPadからパソコンにデジタルデータを送る方法があれば、パソコン経由でオーディオインターフェイスにiPadのデジタルデータをお届けできるのではないでしょうか?
「ないでしょうか?」なんて大袈裟ですが、できます。
ただし直接繋ぐ事はできないので、また別の機器が必要となります。
USBクラス・コンプライアントに対応したオーディオインターフェイスならば当然できますが、間違えて買ってしまったオーディオインターフェイスの存在意義がなくなるし、バカバカしいのでもっと別の機器を探しました。
そして見つけたのが「iConnectMIDI4+Lightning Edition」というものです。
【正規輸入品】 iConnectivity iConnectMIDI4+ Lightning Edition マルチMIDIインターフェイス ICONNECTMIDI4L
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わざわざ買う人もいないと思いますが、念のため説明するとこのシリーズはいくつかあり、現行のiPad(Air、Air2)と接続できるのは上の長ったらしい名前のやつです。
「iConnectMIDI2+」というのもありますが、これは「4」より前に発売されたもので、「4」の機能が一部ないのでお勧めしません。
…で、これは何ぞ?
一言で言えば複数のMIDI入出力できる機器をいっぺんに繋いでしまおう!というものです。
それだけならUSBハブを買ってきて繋げばええやん、と思うでしょうがこれは接続した機器間のMIDI信号をルーティング(Aから入力した信号はBだけに渡してCには渡さないなどの設定)ができるのです。
しかも、扱えるのはMIDIデータだけでなくデジタルオーディオデータも扱えるんです!!!
おまけにiPadの充電もやっちゃいます!!!
いやー、買っといてなんですが、ビックリしましたよ。1本のケーブルでMIDIデータとデジタルオーディオデータ両方のやりとりができるんですよ。
正直「どうせMIDIデータを送受信しているときはオーディオデータは送れないんでしょ」なんて思っていたのですが、同時に送受信できるんです!
なんていうか技術の進歩ってすごいですね。
まあ、例によって手放しで喜べるはずもなく、欠点が3つあります。
1.パソコン上のドライバは「ASIO4All」である(Windowsの場合)
※オーディオのレイテンシが増えます。
2.扱えるオーディオデータは48kHz/24bit(96kHz/16bit)まで
※96kHzのメリットが…泣
3.オーディオデータを扱うには別途パソコンにDAWが必要
※フリーのやつでもいいんですが、いちいち立ち上げないといけないのが面倒
かくして散財した挙句、下図のようにiPadの音がスピーカーから出るようになりました!(ヘソクリなくなっちゃった…)
うん、まあ長ったらしいね(笑)
ここで、先の寄り道話と絡めると、このiConnectMIDI4+はMIDI機器を繋げられるので、MIDIキーボードも繋げられます。もちろんキーボードからの信号はiPadにもパソコンにも届けることができます。
あれ?なんか「MIDIコントローラー」なんてもんがついてますね。
これは後々のお話への布石ということで…
では、2回に渡る繋がり話はこれにておしまい!
iPadの音をスピーカーで鳴らそうとして失敗した話
iPadをいじくり回していると内蔵スピーカーやヘッドホンでは物足りなくなって、やっぱりスピーカーからそこそこの音量(家族から苦情がでない程度)で鳴らしたいなぁ~、なんて欲望が湧いてきます。
そこで自分なりに調べた結果「オーディオインターフェイス」があれば幸せになれるという事が判明しました。
iPadのLightningポートとオーディオインターフェイスを繋いで、デジタルなオーディオデータをお届けすることで音質良くスピーカーから鳴らせるって寸法です。
図にするとこんな感じ。
で、オーディオインターフェイスを購入しようとしたのですが、これが3千円から30万円までと幅広い価格で商品も山ほどあるのです。
もうね、情報も入り乱れて初心者には何がなにやらな世界です。この混沌の海の波打ち際でチャプチャプした私ですが、僭越ながらオーディオインターフェイスについて紹介させていただきます。
まず価格についてですが、主に下の4つの要素で決まっているようです。
・音質
・接続できる数
・安定性
・反応の良さ(入力と出力の時間差=レイテンシ)
まあ、音質は当然っちゃ当然ですね。デジタル→アナログとアナログ→デジタルの変換の質が音質となります。
接続できる数は「8in/4out」みたいに書かれている部分です。多い方が高価になります。接続の数には注意が必要で、単位がモノラルジャックなのでステレオ接続するには2in必要となります。ですので、8inはステレオ機器が4つ接続できるという意味になります。
また、入力方式も全てが普通のジャックではない場合もあるので注意しましょう。ちなみにUSB接続はこの数にはカウントされません。
それから普通のジャックもマイクプリアンプ(マイクやギターは信号が弱いのでそれを増幅する装置)が付いているものもあります。
歌やギターを録音したい人はマイクプリアンプがあるものを選びましょう。
接続数が価格に及ぼす影響は大きく、同じ音質でも接続数が少ないと安いです(steinberg社のオーディオインターフェイスで入力が2減ると5,500円安くなっていました)
だからといって、ヘタすりゃiPadしか接続できない位の商品を買っちゃったら、歌を録音できなくて泣くハメになるかも知れません。
ですので、後々の拡張性を考えないとしても2in(マイクプリアンプ付)くらいが妥当だと思います。
ついでに接続するプラグ形状について説明します。
(プラグは差す側、ジャックは差される側です)
左からステレオミニプラグ(イヤホンなど)、標準プラグ、XLRプラグ(マイク)、midiプラグ(midiデータ用)です。標準プラグは先にある黒い帯が1本(モノラル)が普通ですが、帯が2本(ステレオ)のものもあるので、買う時は確認しましょう。
「コンボジャック」というものがある場合もありますがこれは標準プラグとXLRプラグのどちらも差せるジャックだという意味です。
さらにUSB接続も説明しちゃいます。
こんなん分っとるわい!
と仰る方もいると思いますが、左からUSBタイプA、USBタイプB、ご存じLightningです。USBタイプBは主にデータを発信する側の機材に使います。DTM関連の機材でケーブルが付属していない、ケーブルの長さが足りないなどの理由でUSBケーブルを買うときは気を付けましょう。
話をオーディオインターフェイスに戻します。
オーディオインターフェイスの安定性ですが、これは実際使ってみないと分からないですかね。ちなみにRME社のオーディオインターフェイスは安定性抜群らしいですがお高いです。私が持っているオーディオインターフェイスはそこそこ安い価格ですが、たまにグズる時があります。
反応の良さは入力から出力までの遅延です。これは扱うオーディオの周波数とバッファサイズで理論値が決まり、オーディオインターフェイスのドライバやDAWで実際の遅延が決まります。
理論値については、CD音質を44.1kHz、1ミリ秒(ms)を1000分の1秒として、扱う周波数が48kHzでバッファが256サンプルだと5.3ミリ秒になります。また、96kHzで512サンプルも同じ5.3ミリ秒です。
バッファが256サンプルの場合:96kHz→2.7ms、48kHz→5.3ms、44.1kHz→5.8ms
バッファが512サンプルの場合:96kHz→5.3ms、48kHz→10.7ms、44.1kHz→11.6ms
この理論値にドライバ・DAW由来の遅延を足して実際のレイテンシとなります。
では、実際どんくらいがいいんよ?という話になりますが、実際のレイテンシが四捨五入して10msなら問題なさそうです(個人差大いにあり)
恐らく1万円以上のものならレイテンシはそれほど神経質にならなくても問題なさそうです。
ちなみにiPadアプリのレイテンシは概ね10ms以下に抑えてあるようです(設定によりますが)
私は何を失敗したか
エラそうにオーディオインターフェイスについて語りましたが、私が買ったオーディオインターフェイスは「iPadに繋げられない」ものでした。
…致命的にダメですよねこれ。何考えて買ったんでしょうか…
厳密にいうと繋げられるのですが、iPadのイヤホンジャックとオーディオインターフェイスを繋ぐ形になります。最初の図に合わせるとこんな感じ。
でもこれはオーディオインターフェイスでなくても安いオーディオミキサーでも同じ事になるんです。
※オーディオミキサーはアナログの音をミックスする機材です。
アナログじゃダメなんだよ!デジタルがいいんだよ!
…では、iPadに繋げられるかどうかの違いは何かというと「USBクラス・コンプライアント」に対応しているかどうかという事です。
はい、出ました訳分からん横文字。USBクラス・コンプライアントは「専用のドライバがなくてもデジタルオーディオを扱えまっせ」 という意味です。
パソコンなら専用のドライバをインストールして使えるようにするのが一般的ですが、iPadはアプリはインストールできますが、ドライバはインストールできません。
なので、iPadを繋ぐにはドライバ不要のオーディオインターフェイスが必要になるのです。
具体的には安い所でsteinberg社のUR242辺りになるのでしょうか。
Steinberg スタインバーグ 4 x 2 USB 2.0 24bit/192kHz オーディオインターフェース UR242
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参考までに私が買ってしまったオーディオインターフェイスについて
買ったもの:MOTU社のAudio Express
入出力:6イン6アウト
※アナログ4イン(アウト)+S/PDIF2イン(アウト)ですが、S/PDIF機材を持っていないので実質4イン(アウト)。
サンプリングレート:最高96kHz/24bitかつバッファ128サンプル
接続方式:firewire400かUSB
安定性:時々かくれんぼする(PCから認識できなくなる)
※パソコンが立ち上がってから電源ON、パソコン切ってから電源OFFを心がけたらかくれんぼしなくなった。
反応の早さ:文句なし
※96kHz/128サンプルでDAW上でイン2.4ms、アウト2.9ms合計5.3ms
音質:これしか知らないから何とも言えませんが、不満なし。
※オーディオインターフェイスだけでなくスピーカーとスピーカーを置く環境も最終的な音質に絡んできますので、マンションの6畳間にはこれで十分な気がします。
(と自分に言い聞かせている)
↓アマゾンでは6イン8アウトと書いてありますが、6アウトです。
MOTU Audio Express 6イン8アウト Firewire / USB2 オーディオインターフェイス
- 出版社/メーカー: MOTU
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次回は紆余曲折の末、このグズっ子にiPadをデジタルで繋いだお話をいたします。
DTMとハイレゾ
ここ1年くらいで「ハイレゾ」という言葉がよく目につくようになりましたよね。
Google先生で検索すると248万件ヒットするので、まあ盛り上がっているのかな、という気はします。
ただ、DTMを始めると、96kHz/24bitって制作環境としては普通なのでハイレゾの有難みがイマイチ実感できなくなります(192kHz/24bitは趣味レベルでは無理ですが)
もちろんiPadでも96kHz/24bit環境にできますよ。
(下はCubasisで右上の「SETUP」ボタンから設定したものです)
まあ、設定できるといっても生楽器やボーカルならCD音質との違いは分かりますが、ピコピコ音楽だとそんなに分からないもんです。
では、何故ピコピコなのに96kHz/24bitにするのか?
それは、「俺ってハイレゾ環境で音楽制作してるんだぜ!」という自己満足…ではなく「エフェクターなどで音を変化させた時に発生する音の歪みが少ない」からです。
専門的な話は他サイトに譲るとして、音を何らかしら変化させると歪みやノイズが発生します。これは宿命です。運命です。
でも、なるべく歪みやノイズを減らしたいのでハイレゾ環境での制作を行うことになります。
つまり、
①本来滑らかである音(アナログ)をデジタルに変換すると必ず角ばってしまう
②角ばったデジタル音を変化させると更にえらいこっちゃになる
③なので最初のデジタルへの変換時になるべく角ばらないようにする(ハイレゾ)
④iPadアプリやソフトシンセはそもそもデジタルなので角ばり具合は気にならないが、音を変化させるとえらいこっちゃになるのは同じなので、できるだけハイレゾ環境で変化させると幸せになれる
という事です。
関係ないですが、PCでDTMしてるとyoutubeの動画で流れる音の劣化具合がはっきり分かって嬉しいやら悲しいやらになります。はっきりと分からない方が良いこともありますよね!
あと、ハイレゾ対応のスピーカーやヘッドホンの再生音域は通常のもの(5Hz~35kHzくらい)より高音域が再生できます(5Hz~50kHzくらい)が、ぶっちゃけモスキート音が聞こえないオッサンには関係ない話です(笑)
なので、制作がハイレゾ環境だからといって対応するスピーカーやヘッドホンを買うよりも音楽制作向けの解像度が高いものを買った方がいいと思います。